撞球指南(ビギナー向け)

4ページ目(ダシについて)

jump menu


1ページ目 | 2ページ目 | 3ページ目 | 4ページ目 | 5ページ目
ポジショニングの意味 / 頭に入れておきたいこと / 無回転接触で考える / フォローで考える / ドローで考える / 総合的に考える

「出し」について


えー、やっとここまで来ました。これでだいたいいいとこ行くことになります、 ビギナー向け指南ということではですが。


まあ、前回の講座で「全5回」としていましたので、もう1講座あるわけなのですが、 5回目は恐らく蛇足なものですので、実質、この4回目で完成です。


「出し」についてということですが、これを意識し始めると 脱ビギナーとなるものです。ここでは、それがどういうものなのか・どうしたら良いのかと いうことについて触れていきたいと思います。

ポジショニングの意味


ポジショニングという技術が持つ意味としては、ゲームを総合的に考えた場合の ショットの精度やポケット成功率をできるだけ高めたい、ということにあるかと思います。


100%ポケットできる配置が幅広いがそこにポジショニングできない人と、 100%ポケットできる配置が狭いがそこにポジショニングできる人とは、極端な例ですが、 前者はマスワリをほとんどできないと思いますが、 後者はほとんど取り切ってしまうことができると思います。


もちろん、「入れについて」で触れた通りに、ゲームボールだけで見れば前者が 有利ですが、ゲーム全体を見た時は、良い配置でゲームボールに辿り着くことのできる 確率なんてのが重要になってきたりするということですね。


なんですが、良いポジショニングができてもポケットできなければ続けてプレイすることが できませんのでね、出しの練習ばかりしていても駄目なんですがね。 まあ、そこはバランス良く練習すると良いと思いますよ。

1.頭に入れておきたいこと


出し方っつーもんはですね、入れ方と違い、一つの配置に対して色々なアプローチが 存在します。それらを全て覚えるのは無理だと思いますし、覚えられたにせよ、時間の無駄です。 幾つか基本を覚え、そこから微調整すると良いと思います。


そして、最初からマスワリなどを考えていきますと、良く解らんことになりがちですから、 最初は2球ないし3球で考えていくとベターです。ここでは、それぞれいつもどおり、図により 解説・説明していきたいと思います。

2.無回転接触で考える


まずは、手球が無回転の状態で、的球に接触した場合を考えていきます。個人的には、 これを基本とし、後はどれくらいフォロー(前進回転)orドロー(後進回転)させると 良いか?なんて感じで考えるとイメージがつかみやすいかと思います。


手球が的球と無回転で接触した場合に、手球は、的球が転がる方向に対して、90°の角度に 転がります。物理的に厳密に突き詰めるとどうか知りませんが、まあ、90°と覚えてもらっても 大丈夫かと思います。


90°図


もちろんですが、手球が的球に対して、的球とポケットを結ぶ直線状より右にある場合 (右フリと言います)は、接触後は左方向へ、直線状より左にある場合(左フリと言います) は、接触後は右方向へと、手球は転がります。


右フリ・左フリ


これをふまえて、以下の配置で手球がフリーボールの時の、2つの的球を取り切ることを 考えます。3番(赤)→6番(緑)の順番です。


2球取り切り・手球フリー


まずは「フリーの手球をどこに置くか」ですけど、これは狙うポケットにより変わるのですが、 この場合は、図で上側にあるサイドポケットを狙うのが良いと思います。

そうすると、3番の次に狙うべき6番は、先球である3番とポケットを結ぶ直線の左側にあることに なりますから、手球は右フリになるような位置に置けば上手いこといく感じがします。


手球を右フリにセット


つまりこの図のように手球を置けば、あとは力加減のみ(まあ、それが一番難しいのですが)で、 6番をポケットしやすい位置に手球をポジショニングすることができます。


この配置ですと、あくまで図の上での話なんですが、気持ち強めで半タップ下を撞くと良い感じ だと思います。僕としては。


まあ、人によってショットの強さの基準がマチマチですから、なんとも言えません。 ポジショニングの力加減ばっかりは、自分で試してみて、自分の「普通の強さ」ってのを感覚として はっきりとしておけば、とりあえず良いような気がします。


フリの大小等によって、同じ強さでも手球・的球の転がり方はかなり違います。「入れについて」 で紹介した、2分の1・4分の1等を基準に考えるのも良いかもしれません。

3.フォローで考える


続いては一番使用率が多いと思われる、フォローを使用してのポジショニングですよ!


フォローはですね、無回転なんかよりもよっぽど多用します。ある日の僕も、「フォローメインで ポジショニングするように。」と師匠に厳しく指導されました。懐かしいなあ。

と言うのも、自然に転がすフォローは、バックスピンで無理やり転がすドローよりもイメージが つかみやすいからだと思います。無回転についてはビリヤードというゲーム(ボーラード除く)の性格上、 どうしてもフォローよりは出番が少ないです。


ラシャとの摩擦が常にあるわけですから、的球との接触後の手球のアクションは、特に意識しない時、 フォロー時であることが多いからですね。特に素人の場合は、そのショットのほとんどがフォローな はずです。よって、一番多く目にするアクションが、フォロー時のものであるということが言えるのかな と思いますので、それにより、イメージがつかみやすいのだと思います。


てなわけで、とりあえずこんな配置を用意しました。今度は3球取り切りです。


3球取り切り・手球固定


的球を狙う順番は、2番(青)→5番(オレンジ)→6番(緑)となります。今度は手球の位置は 固定です。上の図の位置からショットしなければなりません。そして、ちょっと解りづらいですが、 手球は2番に対してやや右フリになってます。

まず、このまま、無回転で撞くとどうなるのかと言うと、こんな感じになるかと思います。↓


無回転接触のアクション


手球の位置1(ギャグじゃない)では右フリですので、手球は的球と接触後、左へ向かうことに なりますが、フリの加減が小さいので手球はほとんど動きません。ちょこっと左へ転がり、止まる ことと思います。

で、次に5番を狙いつつ、6番へポジショニングしたいのですが、その5番に対して手球が左フリに なってますから、手球は右方向へと転がってしまいますので、6番へとポジショニングすることが 難しくなってしまいます。


まあ、図の5番をポケットした後の手球の位置からは、絶対に6番をポケットすることができない というわけではありませんが、成功率は低くなりますよね。


しかし、フォローを使用することにより、その成功率を格段に上げることができるのです。 こんな感じで。↓


フォローのアクション


2番をポケットする際に、少しフォローをかけ、5番に対して右フリの位置に手球をポジショニング します。それにより、5番をポケットすると、手球は自然に左方向へと転がりますので、6番へ ポジショニングしやすくなったいうものです。


このように、ちょっとしたフォローを選択肢に組み込むだけで、3球取り切りを成功させられる 配置が格段に増えます。かなり成功率は高くなると思います。


さらに、僕はですが、図を作成していて「やっぱりフォローのがイメージしやすい。」 「力加減も想像できるなあ。」と思いましたし、また、そのせいで図も作成しやすかった (後で出てきますが、ドローは図を作成しづらかったです。)ですね。

4.ドローで考える


さて、無回転→フォローと説明してきましたから、次はドローで考えてみたいと思います。


なお、上記にもありますが、ドローについてはフォローよりも幾分難易度が高いと思われます。 イメージがしづらい・安定して同じ距離だけ引くことが難しいためです。


しかし、ゲームをやっていく上で、必要になる場面もありますので、苦手とはしていても、 選択肢の一つとして考えられるようにはなっておきたいところです。ちょっと(2球分とか)引くだけで、 残りの球が思った以上にイージーになるとか、そんなんありますのでね。


早速、画像付きで解説していきます。


ドローの基本


使用する機会が多いのはこういった感じの配置でしょうか。次にポケットするべき球が 、先球の隣りにある場合ですね。残り2球で、そのような配置 でしたら、迷わずドローです。

フォローでも考えられますが、この場合にはドローの方が確実に仕留められると思います。 フォローでポジショニングする場合は、次の図のような感じになると思います。


フォローで回す


この取り方のが自身のある方は、こっちでも全く構いません。その日の調子等もあると思いますし、 なにより、こういった考え方もできるというのは、これから上達していく上での 重要なファクターの一つでもあると思います。


ちなみにこの的球の配置、最初は左フリでしたが、おもしろいことに右フリでもドローが良い感じ です。若干ですけど。


ドローの基本2


まあ、ドローについてはこんなところです。基本さえしっかりとしておけば、基本的に出番が 少ないのですから、とりあえずは良いのではないでしょうか。

5.総合的に考える


「出し」についてはこれで最後となります。ゲームの中の2、3球のみを考えたポジショニング ではなく、もっと全体的に捉えるという「目」を養っていきます。


そしてそれが、脱ビギナーのボーダーラインになると思います。実践はできなくとも、様々な角度から 取り切ることを考える・考えられるということが大事なのです(再三言及してますが)。 将来的に上達が行き詰まった時の、それを乗り越えられるスピードが違ってくるはずです。


ここでまず、取り切ることを考える時に、よく言われていることを言い(書き)たいと思います。 全体を引き算で考えるというものです。まあ、いきなり「引き算」と言っても、なんのことやら 解らんことと思いますので、まずはここから説明していきます。そして、このことを常に頭に入れ、考える・想像 する等といったことから取り組んでいってもらいたいと思います。


普通、幾つかの球を取り切ることを考える時には、
「1番へは右フリだから、2番へ出すにはちょっと押して・・・。」
「それから、3番へ出すにはきっちり引いて、かつ気持ち順ヒネリかな・・・。」
と、先球を基点として、どう ポジショニングするかを考えることと思います。これは当たり前ですよね。 1番の後に2番で、さらにその後に3番ですから。
しかし、この考え方ですと、全体に渡って先球からゲームボールまでの道筋をイメージしづらいと 思います。途中まで考えて「ああ、やっぱり4番→5番はこうした方が良いな。」とか、上手く繋がらなかった場合に、 戻って考え直さなければいけないからです。そしてそれは、長考に繋がってしまい、非常にスタイリッシュじゃない です。どうせなら、格好良くやりたいものです。


そこで、引き算式ポジショニングイメージ(←命名したw)の出番となるのです。ちなみに、先球基点のは 足し算式ですかね。やり方としては、もうお気付きかと思いますが、先球基点ではなくゲームボール (または目標とする的球)を基点として戻りながら考えるというものです。


ええと、言葉ばかりでは伝え切れませんのでね、また図による解説をいたします。とりあえず「ドローで考える」 で使用した図を使い、簡単に説明しようと思います。


総合1


ちなみにこの図では、1番(黄)→2番(青)そして最終的に3番(赤)をポケットするにはどういう アプローチで進めるとベターなのかを前提に、説明していきます。とりあえず、上図の配置の解説ですが、 3番が図で言うと上側の長クッションにくっついている状態です。そして、 手球は1番に対して左フリの配置です。手球を固定するのを前提で進めると、非常に僕がやりやすいので、 そうします。


まあ、このくらいの球数でしたら足し算式でも問題無いと思いますが、引き算式に慣れるという目標設定で すから、我慢して読んでください。


まず、最後に3番を楽にポケットしたいのですから、楽にポケットできそうな位置に手球をポジショニングする には2番に対してどの程度のフリが良いのかと考えます。楽そうなのは図での右上のコーナーポケットだと思います ので、そうすると、2番は3番の右側に位置していると考えられますよね。ということはつまり、2番に対して、手球は 右フリの位置にあると3番に良い感じでポジショニングできそうです。さらに、その際ドローショットをしてみると、 手球は3番とポケットを結ぶ直線上を転がるような動きをしますので、楽にポジショニングできそうです。


で、その2番に対して良い感じの位置にポジショニングしようと思った時に、1番をポケットする際に、手球を どう撞けば良いのかという選択をせまられます。フォローかドローか、はたまた無回転で接触させるのかですね。 無回転で接触した場合はそのまま90°右に走るのですが、2番にも接触しそうでいまいちです。フォローの場合は、 力加減さえ上手くいけば良い位置に出せそうですが、強いと左フリに、弱いとそもそも右上のコーナーポケットに 狙えなくなることも考えられます。そしてドローですが、弱いと左フリになってしまいますが、ちょうど良い時と 強かった時も右フリにはなりそうですし、右上のコーナーポケットも狙えそうです。ということで、1番から2番は ドローでポジショニングするのがベターな感じがします。


これで、1番から3番までを取り切る時の道筋がはっきりしてきましたね。文字の密度が高く読みづらいと 思いますので、簡単にまとめてみます。


3番右上のコーナーポケット狙い

3番を簡単にポケットしたい

2番を右フリに

1番はドローで右(とちょっと手前)に流す感じで


ってところだと思います。これが引き算式ポジショニングイメージです。実際に狙う順番と逆に考えていきます。 こうすることで、考え直すのも足し算式に比べるとはるかに少ないですし、なにより長考しないので格好良いです、 相手が初心者〜ちょっとやってる人なら、簡単に「おお、上手いなこの人。」と思わせることができます。


はい、それでは次にいきます。次はこうです。↓


総合2


3番が下のサイドポケット付近にあります。他の球の配置は先程と一緒です。これの見所は、3番の位置がわりと 動いても、することは大して変わらないというととこです。まあ、一つ覚えれば簡単に応用が利くってことを お知らせしたいということです。これは図で説明しますね。


総合2-2


ここまでは、一緒です。この次に3番にポジショニングするために、先程はドローでしてましたが、今回はちょいと 違う方法でやってみます。


総合2-3


こんな具合です。先程はドローで、手球を3番とポケットを結ぶ直線上で転がせましたが、今度はフォローを使うと そういったふうに上手くいくと思います。

このように、最後にドローかフォローかどちらかというだけでも、 ポジショニングできる位置は結構変わってきます。これに加えて、力加減、回転のキレ等により、アナログ的に ポジショニングできる位置は無限大となりますし、またその分、調整も難しいのです。

ピンポイントで狙うよりも、常に上記のように「ある程度のミスを許容できるポジショニング」 というのも重要なファクターになってきます。そして、それを解りやすく言うと、点では なく線でのポジショニングと言えるのかと思います。

常に線でイメージしていると、ポジショニングのミスというものは減ってくるのではないでしょうか。

獅子座のA型 since 2004-11